健康診断の結果票には、たくさんの数字とアルファベットが並んでいて、どこを見ればいいのか迷いがちです。この記事では、厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」と、日本人間ドック・予防医療学会の「判定区分(2026年4月1日改定)」の原文を確認し、結果の読み方を順番に整理しました。

なお、ここで紹介する数字は「目安」です。あなたの結果がどういう意味なのかは、健診機関の判定と医師の説明に従ってください。

判定区分(A〜Eなど)は健診機関によって違う

結果票の「A」「B」「C」といった判定区分は、全国で一つに決まっているわけではありません。健診機関ごとに、区分の数や呼び方、どの数字でどの区分にするかが違うことがあります。そのため、ほかの人の結果票や、ネットで見た表とそのまま比べるのは避けましょう。

例として、日本人間ドック・予防医療学会が公開している判定区分を紹介します参考[3]。

区分意味例:収縮期血圧(上の血圧)例:LDLコレステロール
A異常なし129以下60〜119
B軽度異常130〜139120〜139
C要再検査・生活改善140〜159140〜179
D要精密検査・治療160以上59以下、180以上
E治療中すでに治療中の場合

単位は血圧がmmHg(ミリメートル水銀柱)、LDLコレステロールがmg/dL(血液1デシリットルあたりのミリグラム)です。この学会の区分表では、C判定には「何か月後に再検査するか」をはっきり書くこと、血圧は健診機関での再検査よりも家庭での血圧測定をすすめることも書かれています[3]。

一方、会社や市区町村で受ける特定健診(メタボリックシンドローム=内臓脂肪の蓄積に着目した健診)では、厚生労働省が「保健指導判定値」と「受診勧奨判定値」という2つの目安を示しています[1]。次の章で詳しく見ていきます。

主な検査項目の意味と、厚労省の判定値

まず、2つの言葉の意味を押さえておきましょう。

  • 保健指導判定値:この値を超えると、生活習慣の見直し(保健指導)が必要になってくる目安
  • 受診勧奨判定値:この値を超えると、医療機関を受診して詳しく調べてもらうことがすすめられる目安。厚労省の表には「再検査や生活習慣改善指導等を含め医療機関での管理が必要な場合がある」と書かれています[1]

下の表は、厚労省のプログラムの「別紙5」をもとにまとめたものです参考[1]。これらの値は、日本高血圧学会・日本動脈硬化学会・日本糖尿病学会のガイドラインや、日本消化器病学会肝機能研究班の意見書に基づいていると説明されています[1]。

項目何を見ている?保健指導判定値受診勧奨判定値
収縮期血圧心臓が縮んで血を送り出すときの血圧(上の血圧)130以上140以上
拡張期血圧心臓がふくらんで血をためるときの血圧(下の血圧)85以上90以上
LDLコレステロール血管にたまりやすい、いわゆる「悪玉」コレステロール120以上140以上
HDLコレステロール余分なコレステロールを回収する、いわゆる「善玉」コレステロール40未満設定なし
中性脂肪(空腹時)血液中のあぶら。食事やお酒の影響を受けやすい150以上300以上
空腹時血糖食事をとっていない状態の血液中の糖の量100以上126以上
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)過去1〜2か月の血糖の平均的な高さ5.6以上6.5以上
AST(GOT)肝臓などに多い酵素。肝臓の細胞が傷むと血液中に増える31以上51以上
ALT(GPT)主に肝臓にある酵素31以上51以上
γ-GT(γ-GTP)肝臓や胆道(胆汁の通り道)に関わる酵素。お酒の影響を受けやすい51以上101以上

単位は、血圧がmmHg、コレステロール・中性脂肪・血糖がmg/dL、HbA1cが%、AST・ALT・γ-GTがU/L(酵素の量の単位)です。中性脂肪は、食後に測った「随時中性脂肪」の場合は保健指導判定値が175以上になります[1]。HbA1cが過去1〜2か月の血糖を反映することも、同じプログラムに書かれています[4]。

BMIと腹囲は「メタボ」の入り口を見る数字

BMI(ボディ・マス・インデックス)は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った、体格を表す数字です。腹囲はお腹まわりの長さで、内臓のまわりにつく脂肪(内臓脂肪)の目安になります。

特定健診では、特定保健指導の対象者を選ぶ最初のステップとして、次の基準が使われます参考[2]。

項目基準
腹囲男性85cm以上、女性90cm以上
BMI腹囲が上の基準に当てはまらず、BMIが25以上

このどちらかに当てはまり、さらに血圧・脂質・血糖が保健指導判定値を超えている(喫煙も条件によって数える)と、特定保健指導の対象になる仕組みです[2]。ちなみに日本人間ドック・予防医療学会の区分表では、BMIは18.5〜24.9がA、それ以外がCになっています[3]。

「要再検査」「要精密検査」と言われたら

結果票に「要再検査」「要精密検査」「要医療」などと書かれていたら、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関を受診してください。生活習慣病は自覚症状がほとんどないまま進むことが多い、と厚労省のプログラムにも書かれています[4]。「痛くもかゆくもないから大丈夫」とは言えないのです。

厚労省のフィードバック(結果の伝え方)の文例集では、数字の高さに応じて、たとえば次のような対応が示されています参考[1]。

項目数字の目安文例集での対応
血圧収縮期160以上 または 拡張期100以上すぐに医療機関の受診を
血圧収縮期140〜159 または 拡張期90〜99生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診を
脂質LDL 180以上 または 中性脂肪500以上早期に医療機関の受診を
血糖空腹時血糖126以上 または HbA1c 6.5以上(糖尿病の治療をしていない人)定期的に医療機関を受診していなければ、すぐに医療機関受診を
肝機能AST 51以上、ALT 51以上、γ-GT 101以上のいずれか医療機関の受診を

血圧の文例では、140〜159の範囲でも、脳や心臓の病気、心房細動(不整脈の一種)、慢性腎臓病、糖尿病がある人や、危険因子が重なっている人には、至急受診をすすめる文例になっています[1]。同じ数字でも、その人の状態によって対応が変わるということです。

受診するときは、健診の結果票を持っていきましょう。家庭用の血圧計がある人は、起床後と就寝前に1週間ほど測った記録を持参すると診療の参考になる、と文例集には書かれています[1]。

また、受診勧奨判定値を超えたからといって、すぐに薬を飲むことになるとは限りません。厚労省のプログラムでは、Ⅰ度高血圧(収縮期140〜159、拡張期90〜99)などであれば、服薬よりも3か月間は生活習慣の改善を優先するのが一般的だと説明されています[4]。治療が必要かどうかを決めるのは医師です。だからこそ、まず受診して相談することが大切です。

「要指導」なら生活習慣の見直しから

保健指導判定値を超えたけれど受診勧奨判定値までは届いていない、いわゆる「要指導」「軽度異常」のゾーンでは、生活習慣の見直しが中心になります。特定保健指導の案内が届いた人は、ぜひ活用してください[1]。

厚労省の文例集では、たとえば血圧を下げるために、次のような生活習慣の見直しが挙げられています参考[1]。

  • 減量(太っている人や、以前より体重が増えた人)
  • 適度な運動
  • お酒を減らす
  • 減塩(塩分を控える)
  • 野菜を多くし、果物も適度に食べる

肝機能の数字が高めの場合、γ-GTが高くて飲酒の習慣がある人には減酒をすすめる文例が、お酒をあまり飲まないのにALTが高い人には、糖分や脂質のとりすぎを控えて適度に運動する文例が示されています[1]。

睡眠も見落とせません。厚労省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足を含む睡眠の問題が続くと、肥満・高血圧・2型糖尿病・心疾患などの発症リスクの上昇に関連すると整理されています参考[5]。同じガイドでは、「6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことが推奨事項の一つとして示されています[5]。

範囲外=病気ではない、範囲内でも安心しきらない

基準の範囲から外れていても、それだけで病気と決まるわけではありません。日本人間ドック・予防医療学会の区分表でも、D判定(要精密検査・治療)になった人が精密検査を受けて、はっきりした原因が見つからなかった場合などは、C判定などに変更するのが適切だと書かれています[3]。

また、数字は測ったときの条件にも左右されます。厚労省のプログラムでは、血圧は病院で緊張して高くなる「白衣高血圧」などがあるため再測定が重要なこと、血糖や中性脂肪は直前の食事や前日の飲酒の影響を大きく受けることに注意するよう書かれています[4]。

反対に、基準の範囲内だからといって、安心しきるのも禁物です。厚労省の文例集では、血圧が「望ましい」とされるのは収縮期120未満かつ拡張期80未満で、保健指導判定値(130/85)より低い値です[1]。さらに、血圧が130〜139の「高値血圧」の範囲でも、脳や心臓の病気、慢性腎臓病、糖尿病などがあると薬による治療の対象になることがある、とも書かれています[1]。一つひとつは範囲内やわずかな超え方でも、いくつもの項目が少しずつ高い場合は注意が必要です。

去年の結果と比べて見る

結果票は、今年の数字だけを見るより、去年・おととしの結果と並べて見るのがおすすめです。厚労省のプログラムでは、検査項目ごとの経年変化(年ごとの変化)を確認し、悪くなっている傾向か、良くなっている傾向かを踏まえて伝えることが大切だとされています[1]。基準の範囲内でも、数字が少しずつ悪くなっている場合は注意を呼びかけることが望ましい、とも書かれています[4]。

比べるときのポイントは次のとおりです。

  • 同じ項目を、年ごとに横に並べてメモする(スマホの写真で保存しておくのも手です)
  • 判定区分だけでなく、数字そのものの増え方・減り方を見る
  • 受けた健診機関が変わった場合は、区分の決め方が違うことがあるので、数字で比べる
  • HbA1cは平成25年度から表し方(NGSP値)が変わっているため、それより前の結果とは単純に比べられない[4]

そして何より、健診は毎年続けて受けることが大切です。厚労省のプログラムでも、問題がなかった人にも継続して健診を受けることの大切さを伝えるよう書かれています[4]。

医療機関に相談したい目安

  • 結果票に「要再検査」「要精密検査」「要医療」「要治療」などと書かれている
  • 受診勧奨判定値を超えた項目がある(例:血圧140/90以上、LDL 140以上、空腹時血糖126以上、HbA1c 6.5以上、AST・ALT 51以上、γ-GT 101以上)。特に血圧160/100以上、LDL 180以上、中性脂肪500以上などは早めに
  • 治療中の病気があるのに、通院や服薬を途中でやめてしまっている
  • 数字に関係なく、胸の痛み、息苦しさ、強いだるさ、急な体重の減少、のどの渇きや尿の回数が増えるなど、気になる症状がある
  • 結果の意味がよくわからない、どの診療科に行けばいいかわからない(健診機関や、かかりつけの医療機関に相談できます)

出典・注意書き

基準日:2026年10月時点

  1. 厚生労働省. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編 別紙5「健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値」・別添資料「フィードバック文例集」. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231392.pdf
  2. 厚生労働省. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編 第3章「保健指導対象者の選定と階層化」. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001081570.pdf
  3. 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分(2026年4月1日改定). https://www.ningen-dock.jp/ningendock/wp-content/uploads/2026/02/2026hanteikijun.pdf
  4. 厚生労働省. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編 第2章「健診の内容」. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001153023.pdf
  5. 厚生労働省(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会). 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 2024. https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

根拠の強さの表示:強い=複数の研究をまとめた分析・診療ガイドライン/中くらい=ランダム化比較試験/弱い=観察研究/参考=公的資料の目安・専門家の意見など。詳しくはこちら

ご注意

  • この記事は一般的な健康情報で、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方・治療中の方・妊娠中の方は、主治医にご相談ください。
  • 判定区分や基準の数字は、健診機関や健診の種類によって異なることがあります。ご自身の結果は、健診機関の判定と医師の説明に従ってください。
  • この記事の判定値は、厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」と日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」に基づきます(2026年10月時点で確認)。改定されることがあるため、最新の情報は原典をご確認ください。

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