「みんなは何時間くらい寝ているの?」「自分の年齢なら何時間寝ればいい?」。この記事では、国の統計で日本人の睡眠時間の平均を確かめたうえで、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」[1]と論文をもとに、年代別の睡眠時間の目安と、短すぎ・長すぎの睡眠と健康の関係を整理しました。

寝つきが悪い・夜中に目が覚めるなど、眠りそのものの悩みは眠れない原因と、まず試したいことと夜中に目が覚める原因と対策でまとめています。この記事は「睡眠時間の長さ」に絞って見ていきます。

日本人の睡眠時間の平均は?

日本人の睡眠時間は、国のいくつかの調査で調べられています。代表的な2つを見てみましょう。調べ方が違うため、数字の意味も少し違います。

総務省「社会生活基本調査」(2021年):1日7時間54分

参考 総務省の「令和3年社会生活基本調査」では、10歳以上の人の1日の睡眠時間(週全体の平均)は7時間54分でした。男性は7時間58分、女性は7時間49分です。2016年の調査(7時間40分)と比べて14分増えており、減る傾向が続いていた睡眠時間が2021年に増加に転じたとされています[2]。

社会生活基本調査(10歳以上・週全体の平均)2016年2021年増減
総数7時間40分7時間54分+14分
男性7時間45分7時間58分+13分
女性7時間35分7時間49分+14分

この調査は、1日の過ごし方を時間ごとに記録してもらう「生活時間」の調査です。10歳以上の子どもや、平日・土日をならした平均であることに注意が必要です。

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2019年):6時間未満が約4割

参考 厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」で、20歳以上の人に「ここ1か月間の1日の平均睡眠時間」をたずねたところ、「6時間以上7時間未満」と答えた人がいちばん多く、男性32.7%、女性36.2%でした。6時間未満の人は男性37.5%、女性40.6%で、男性の30〜50歳代、女性の40〜50歳代では4割を超えていました[3]。

同じ調査では、睡眠の確保の妨げになっていることとして、20歳代では男女とも「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すること」、30〜40歳代の男性では「仕事」、30歳代の女性では「育児」と答えた人の割合がいちばん高くなっていました[3]。働く世代ほど、睡眠時間を削られやすいことがうかがえます。

2つの数字が違うのはなぜ?

社会生活基本調査の平均(7時間54分)と、国民健康・栄養調査の「6時間台が最多」は、ずいぶん印象が違います。対象の年齢(10歳以上か20歳以上か)、たずね方(時間ごとの記録か、1か月の平均を答えてもらうか)、平日と休日の扱いなどが違うためで、どちらかが間違っているわけではありません。

また、厚生労働省の睡眠ガイドは、自分で答える睡眠時間は「寝床にいた時間」を反映しやすく、やや不正確な可能性があると注意しています[1]。調査の数字は「寝床にいた時間に近いもの」と考えておくとよいでしょう。

年代別の睡眠時間の目安(早見表)

厚生労働省の睡眠ガイドと、米国の専門家による推奨をまとめると次のようになります。

年代厚生労働省「睡眠ガイド2023」[1]米国国立睡眠財団の推奨(2015年)[4]
1〜2歳11〜14時間(米国睡眠医学会の推奨として紹介)11〜14時間
3〜5歳10〜13時間(同上)10〜13時間
小学生9〜12時間9〜11時間(学童期)
中学・高校生8〜10時間8〜10時間(10代)
成人6時間以上を目安に、必要な睡眠時間を確保(おおよそ6〜8時間が適正と考えられる)7〜9時間(若い成人・成人)
高齢者寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保7〜8時間(高齢者)

日本のガイドの成人の目安(6時間以上)は、米国の推奨(7〜9時間)より短めに見えます。ただし日本のガイドも、米国の共同声明では7〜9時間を中心としつつ、短め(6時間〜)や長め(〜10時間)も許容されていると紹介しており、「この時間でなければいけない」という決まりではありません[1]。どちらも、必要な睡眠時間には個人差があるという立場です[1][4]。

年齢とともに眠れる時間は短くなる

参考 厚生労働省の睡眠ガイドは、脳波を使って夜間の睡眠時間を厳密に調べた研究をもとに、夜に実際に眠れる時間は年齢とともに少しずつ短くなると説明しています。目安は次のとおりで、成人後は20年ごとに30分程度のペースで短くなるとしています[1]。

年齢夜に実際に眠れる時間(脳波で測った研究のまとめ・睡眠ガイドより)
15歳前後約8時間
25歳約7時間
45歳約6.5時間
65歳約6時間

根拠:強い 健康な人の睡眠を一晩測った65件の研究(5〜102歳の3,577人)をまとめたメタ分析でも、大人では年齢が上がるほど、実際に眠っている時間や、眠りの効率(寝床にいる時間のうち眠っている割合)、深い睡眠の割合が減っていました。ただし60歳以降も下がり続けていたのは眠りの効率だけで、変化の大きさは、病気や睡眠障害のある人をどれだけ除いたかで大きく変わったと報告されています[5]。

参考 その一方で、寝床にいる時間は逆の動きをします。ガイドによると、夜に寝床にいる時間は20〜30歳代では7時間程度ですが、45歳以上で少しずつ増え、75歳では7.5時間を超える傾向があります。ガイドはここから、若い世代は寝床にいる時間が足りずに睡眠不足になりやすく、高齢の世代は必要な睡眠時間に比べて寝床にいる時間が長くなりすぎやすいとまとめています[1]。

「若いころは8時間眠れたのに」と感じるのは、ある程度は自然な変化です。年齢とともに早寝早起きの傾向が強まることも、ガイドで紹介されています[1]。

成人は「6時間以上」が目安

参考 厚生労働省の睡眠ガイドの成人向けの推奨は、「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」です。これまでの研究から、成人ではおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、少なくとも6時間以上確保できるように努めることが勧められています[1]。

ガイドは同時に、6時間未満でも睡眠が足りている人もいれば、8時間以上を必要とする人もいるとし、個人差や日中の活動量を考えると、8時間より1時間程度長い睡眠も適正な範囲と考えられるとしています[1]。10時間を超える長い睡眠を必要とする人(ロングスリーパー)が一定数いることにも触れています[1]。

休日の「寝だめ」は、平日の不足のサイン

参考 ガイドは、平日の睡眠不足を休日に取り戻そうとする「寝だめ」では、実際に眠りをためることはできないとしています。休日に長く眠る必要があるのは平日の睡眠時間が足りていないサインで、平日の睡眠習慣を見直す必要があるという考え方です[1]。

根拠:弱い ガイドが紹介している40〜64歳の成人の調査では、平日に6時間以上寝ている人に限り、休日の1時間程度の寝だめで寿命が短くなるリスクが下がっていました。一方、平日の睡眠が6時間未満の人は、休日に寝だめをしてもリスクが高いままでした。また、平日6時間以上寝ていても、休日に2時間以上の寝だめをする習慣のある人ではリスクが下がらなかったとされています(人々を追いかけて比べた観察研究で、関連を示すものです)[1]。

休日の起きる時刻が大きく遅れると体内時計が乱れ、「社会的時差ボケ」と呼ばれる状態になることもガイドは指摘しています[1]。働き方そのものが睡眠を削っている場合は、残業の少ない業界を国の統計で比べた姉妹サイトの転職業界研究所「ホワイトな業界ランキング」も参考になります。

高齢の人は「寝床にいる時間」に注意

参考 高齢者向けの推奨は、「長い床上時間(寝床にいる時間)は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する」です[1]。

ガイドは、定年退職などで家で過ごす時間が増えると、必要な睡眠時間に比べて寝床にいる時間が長くなりがちだと説明しています。長く寝床にいても実際に眠れる時間が増えるわけではなく、寝つきに時間がかかり、途中で目が覚めやすくなって、眠りの効率が下がるとしています[1]。

根拠:弱い ガイドが紹介している、多くの調査をまとめて解析した研究では、高齢の世代で7時間未満の短い睡眠による将来の死亡リスクが1.07倍だったのに対し、8時間以上の長い睡眠では1.33倍でした。65歳以上では、睡眠時間よりも、寝床にいる時間が約8時間以上の場合に死亡率が高くなるという報告も紹介されています[1]。いずれも観察研究にもとづく関連で、長く寝床にいること自体が原因と決まったわけではありません(体調が悪いため長く横になっている人が含まれる可能性もあります)。

ガイドは、寝床にいる時間の目安を「1週間の平均睡眠時間(実際に眠っている時間)+30分程度」としています。一方で、日中に忙しく過ごしている高齢の人では成人と同じくらいの睡眠時間が必要な場合もあり、個人差を考えながら6時間以上を目安に、休めた感じが得られる睡眠時間を見つけることを勧めています[1]。日中の長い昼寝を避けることも推奨に含まれています(昼寝の長さは昼寝の時間は何分がいい?で整理しています)。

子ども・10代の目安

参考 厚生労働省の睡眠ガイドは、米国睡眠医学会が推奨している睡眠時間(1〜2歳は11〜14時間、3〜5歳は10〜13時間、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間)を紹介し、夜ふかしなどによる睡眠不足を防ぐため、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することを推奨しています[1][6]。

ガイドは、子どもの睡眠不足について、肥満のリスクが高くなること、抑うつの傾向が強くなること、学業成績が下がること、幸福感や生活の質が下がることが報告されていると紹介しています[1]。思春期には夜ふかし・朝寝坊になりやすく、課外活動やスマートフォンの使用も睡眠時間に影響するとしています[1]。

短すぎ・長すぎの睡眠と健康の関係

根拠:弱い 3年以上追いかけた16件の研究(27の集団・約138万人)をまとめたメタ分析では、睡眠が短い人も長い人も、標準的な長さの人に比べて死亡リスクが高いという関連がみられました(短い睡眠で1.12倍、長い睡眠で1.30倍)。睡眠時間はアンケートで調べられており、研究どうしのばらつきも大きかったと報告されています[7]。人々を追いかけて比べた観察研究のまとめなので、睡眠時間が死亡の原因だと言い切れるものではありません。

参考 厚生労働省の睡眠ガイドも、自己申告にもとづく複数の調査研究から、7時間前後の睡眠時間の人で生活習慣病やうつ病の発症・死亡のリスクがもっとも低く、それより長くても短くてもリスクが高くなると報告されていること、92万人分のデータの解析で睡眠時間が6時間未満になると死亡リスクが高くなったことを紹介しています[1]。

参考 ただしガイドは、脳波や活動量計で実際の睡眠時間を測った研究では、短い睡眠と健康状態の悪さの関連は同じようにみられる一方、長い睡眠と健康状態の関連はほぼみられなくなるとも書いています。そのかわり、寝床にいる時間が長いことは健康状態の悪さと関連するようだとしています[1]。「長く眠ること」よりも「長く寝床にいること」に注意したほうがよい、というのが高齢者向けの推奨の背景です。

自分に必要な睡眠時間の見つけ方

ガイドは、睡眠の「量」(睡眠時間)とあわせて、「質」を表す睡眠休養感(眠って休めたという感覚)を重視しています。朝起きたときの睡眠休養感は、睡眠が足りているかの個人差をつかむ目安にもなるとしています[1]。ガイドの内容をもとに、確かめ方をまとめます。

確かめること考え方(睡眠ガイドより)
朝、「休めた」と感じるか睡眠休養感は良い睡眠の目安。日中の眠気や睡眠休養感に応じて、自分に必要な睡眠時間を探る
休日に平日より大幅に長く寝ていないか休日に長く眠る必要があるのは、平日の睡眠時間が足りていないサイン
寝床にいる時間と、実際に眠った時間1週間記録して、寝床にいる時間を「平均睡眠時間+30分程度」に近づける(特に高齢の人)
季節による違い睡眠時間は夏に比べて冬に10〜40分程度長くなることが示されている

睡眠時間をしっかりとっているのに休めた感じがしない場合は、睡眠時無呼吸などの睡眠の病気が隠れていることもあるとガイドは注意しています[1]。家庭用の睡眠計測の機器については、手軽に買える機器では測る精度が十分とは言いがたいかもしれないとしています[1]。数字だけで判断しすぎず、昼間の調子もあわせて見ましょう。

医療機関に相談したい目安

  • 睡眠時間を十分にとっているのに、朝に休めた感じがしない・日中の強い眠気が続く(運転中に眠くなる場合は特に早めに)
  • 大きないびきをかく、眠っている間に呼吸が止まっていると言われた
  • 寝つけない・夜中に何度も目が覚める・朝早く目が覚めるなどが続き、昼間の生活に困っている
  • 以前に比べて急に眠る時間が大きく増えた・減った
  • 子どもが十分に寝ているはずなのに、日中の眠気や朝起きられない状態が続く
  • 気分の落ち込みや強い不安が続き、眠りすぎる・眠れないといった変化がある(働く人向けの相談窓口として、厚生労働省のこころの耳もあります)[8]

厚生労働省の睡眠ガイドは、ガイドの内容を実践しても睡眠の状態が十分に改善しない場合は、医師に相談することを勧めています[1]。

出典・注意書き

基準日:2026年11月時点

  1. 厚生労働省(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会). 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月). https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  2. 総務省統計局. 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要. https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf
  3. 厚生労働省. 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(第3章 3.睡眠の状況). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
  4. Hirshkowitz M, et al. National Sleep Foundation's sleep time duration recommendations: methodology and results summary. Sleep Health. 2015. PMID: 29073412 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29073412/
  5. Ohayon MM, Carskadon MA, Guilleminault C, Vitiello MV. Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan. Sleep. 2004. PMID: 15586779 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15586779/
  6. Paruthi S, et al. Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations: A Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine. J Clin Sleep Med. 2016. PMID: 27250809 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27250809/
  7. Cappuccio FP, D'Elia L, Strazzullo P, Miller MA. Sleep duration and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of prospective studies. Sleep. 2010. PMID: 20469800 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20469800/
  8. 厚生労働省. こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト). https://kokoro.mhlw.go.jp/

根拠の強さの表示:強い=複数の研究をまとめた分析・診療ガイドライン/中くらい=ランダム化比較試験/弱い=観察研究/参考=公的資料の目安・専門家の意見など。詳しくはこちら

ご注意

  • この記事は一般的な健康情報で、診断や治療に代わるものではありません。睡眠薬などを使っている方、持病のある方・治療中の方は、自己判断で薬や生活を大きく変えず、主治医にご相談ください。
  • 統計の平均や目安の時間は集団の傾向・一般的な目安で、個人に必要な睡眠時間を決めるものではありません。必要な睡眠時間には個人差があります。
  • 社会生活基本調査と国民健康・栄養調査は、対象の年齢やたずね方が違うため、数字をそのまま比べることはできません。国民健康・栄養調査の睡眠時間の数字は、基準日時点で確認できた令和元年(2019年)の結果概要のものです。
  • 睡眠時間と死亡リスクの数字は観察研究にもとづく関連で、睡眠時間を変えれば同じだけリスクが変わることを示すものではありません。

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