「夜中に何度も目が覚める」「毎日同じような時刻に起きてしまい、そのあと眠れない」。こうした悩みは、医学的には「中途覚醒(ちゅうとかくせい)」と呼ばれます。この記事では、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」[1]を中心に、睡眠を測った研究のまとめ(メタ分析)や不眠の診療ガイドラインをもとに、夜中に目が覚める原因として多いものと、自分でできる対策、医療機関に相談したい目安を整理しました。

寝つきの悪さも含めた「眠れない」全般の原因は、眠れない原因と、まず試したいことでまとめています。この記事は「夜中に目が覚める」ことに絞って詳しく見ていきます。

中途覚醒とは?どこからが問題?

中途覚醒は、眠りについたあと、朝の起きる時刻より前に目が覚めてしまうことです。似た言葉に、朝早く目が覚めてそのまま眠れなくなる「早朝覚醒」、寝つくまでに時間がかかる「入眠困難」があります。

参考 厚生労働省の睡眠ガイドは、不眠症を「眠る機会や環境が適切であるにもかかわらず、寝つけない・夜間に途中で何度も起きる(中途覚醒)・朝早く目が覚める(早朝覚醒)などの症状があり、それによって倦怠感や集中力の低下、日中の眠気、眠ることへの強い不安など、日常生活に何らかの支障が出る病気」と説明しています[1]。

つまり、夜中に目が覚めること自体よりも、昼間の生活に支障が出ているかどうかが一つの目安になります。ガイドは「睡眠休養感(眠って休めたという感覚)」を重視しており、睡眠の不調や睡眠休養感の低下が長く続く場合は、背後に睡眠の病気が潜んでいることがあると注意を促しています[1]。

年齢とともに夜中の目覚めは増える

根拠:強い 健康な人の睡眠を一晩測った65件の研究(5〜102歳の3,577人)をまとめたメタ分析では、大人では年齢が上がるほど、眠りについたあとに目が覚めている時間(中途覚醒の時間)が長くなり、眠りの効率(寝床にいる時間のうち実際に眠っている割合)や深い睡眠の割合が下がっていました[2]。ただし、変化の大きさは、病気や睡眠障害のある人をどれだけ除いたかによって大きく変わったと報告されています。

参考 厚生労働省の睡眠ガイドも、加齢とともに体内時計のはたらきが変わって昼と夜のメリハリが弱まり、高齢の人では若いころに比べて昼間の眠気が増え、夜間に目が覚めている時間が増える傾向があると説明しています[1]。

参考 40〜50代では、更年期の影響も考えられます。ガイドは、更年期の女性の4〜6割が睡眠の悩みを抱えていると紹介しています[1]。また、不眠症・閉塞性睡眠時無呼吸・むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害などの睡眠の病気は、50歳代ごろから増えやすいとされています[1]。

年齢による変化はある程度自然なものですが、「若いころと同じように一度も起きずに眠らなければ」と考えすぎると、かえって眠りへの不安が強くなることがあります。

夜中に目が覚める原因として多いもの

厚生労働省の睡眠ガイドで、中途覚醒を増やす要因として挙げられているものを順に見ていきます。

1. 寝床にいる時間が長すぎる

参考 意外かもしれませんが、「少しでも長く眠ろう」と早めに布団に入ったり、朝遅くまで寝床にいたりすると、実際に眠れる時間は増えず、寝つきに時間がかかり、途中で目が覚めやすくなって、眠りの効率が下がるとガイドは説明しています。眠りの効率が下がると「休めた感じ」が減り、さらに長く寝床にいようとする悪循環に陥りがちだとしています[1]。

ガイドは、高齢の人の寝床にいる時間の目安を「1週間の平均睡眠時間(実際に眠っている時間)+30分程度」とし、8時間以上にならないことを目安にしています。まずは1週間、寝床にいた時間と実際に眠っていた時間を分けて記録してみることを勧めています[1]。

2. 寝酒(眠るためのお酒)

参考 アルコールは一時的に寝つきを早めますが、眠りの後半の質は大きく下がり、飲む量が増えるほど夜中に目が覚める回数が増えると報告されています。アルコールは閉塞性睡眠時無呼吸などの睡眠障害も悪化させるとされ、ガイドは「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」ことを勧めています[1]。夜中に目が覚める人が寝酒で寝直そうとすると、かえって後半の眠りが浅くなるおそれがあるということです。

ガイドは、日本人を含むアジア人にはアルコールを分解する酵素のはたらきが弱い人が多く、そうした人(飲むと顔が赤くなりやすい人など)は少量でも影響を受けやすいとも書いています[1]。

3. 夕方以降のカフェイン

参考 カフェインには目を覚ます作用があり、とる量が多いほど深い睡眠が減り、中途覚醒が増え、眠りの効率が下がることが脳波を使った研究で報告されています。ガイドによると、日本人のカフェインの血中半減期(体内の量が半分になるまでの時間)は3〜7時間と個人差があり、夕方以降に100mg以上とると、寝つきの悪化や深い睡眠の減少、中途覚醒の増加が起こるとされています。1日の合計は400mgを超えないように、夕方以降はカフェインを含む飲み物を控えることを勧めています[1]。

ガイドは、400mgの目安を「ドリップコーヒーでコーヒーカップ4杯分(700cc)」と紹介しています。麦茶・そば茶など、茶葉を使わないお茶に置き換えるのも一つの方法としています[1]。

4. たばこ(ニコチン)

参考 ニコチンにも目を覚ます作用があり、寝る前の喫煙は寝つきの悪化や中途覚醒の増加、深い睡眠の減少をもたらすとされています。ニコチンの血中半減期は約2時間で、夕方の喫煙でも寝る前まで作用が残ることがあります。習慣的に吸っている人は、吸わない人に比べて中途覚醒などが目立つという報告も紹介されています[1]。

5. 夜中のトイレ(夜間頻尿)

参考 「トイレに行きたくて目が覚める」という人も多いでしょう。日本排尿機能学会は、夜間頻尿は排尿に関する症状のなかで最も多く、良い睡眠を妨げることで生活の質を下げる症状だとしています。原因は膀胱など排尿の機能だけでなく、呼吸器・循環器・腎臓・内分泌の病気、睡眠の病気、生活習慣など多岐にわたるとしています[3]。

参考 生活習慣では塩分に注意が必要です。厚生労働省の睡眠ガイドは、日中にとった食塩の余分な量は眠っている間に排泄されるため夜の排尿回数が増えること、日ごろから減塩を心がけることで夜間頻尿が軽くなり、夜中に目覚める回数が減ることが期待できると書いています[1]。

なお、夜中にトイレに起きる高齢の人については、転ばないように足元灯や間接照明を使い、目に入る光を減らす工夫も勧められています[1]。冬は、夜中のトイレで急に寒さにさらされると血圧が急に上がるおそれがあるとして、ガイドは WHO の住環境ガイドラインの「冬の室温18℃以上」を紹介しています[1]。

6. 寝室の光・音・暑さ

参考 寝ている間は、弱い光でも中途覚醒の時間を増やし眠りの効率を下げると報告されており、ガイドは寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして眠ることを勧めています[1]。

根拠:弱い 寝室で測った騒音が、眠りの効率の低下や中途覚醒の時間の延長と関連していたという研究も紹介されています(生活の中で測って比べた研究なので、関連を示すものです)[1]。夏は室温の上昇で睡眠時間が短くなり、眠りの効率が下がることが報告されているとして、エアコンで寝室を涼しく保つことが大切だとしています[1]。

7. ストレス・長時間労働

参考 ガイドは、不眠症はストレスをきっかけに始まることが多いとしています。また、不眠が続くと「眠れないこと」への不安や緊張、寝室への苦手意識が強くなっていくと説明しています[1]。夜中に目が覚めたとき「また起きてしまった」と焦るほど、目が冴えてしまうのはこのためです。

ガイドは、労働時間が長いほど睡眠時間が短くなる傾向があることにも触れています[1]。仕事の負担が眠りを削っていると感じる場合は、働き方そのものを見直すことも選択肢です。残業時間などを業界ごとに国の統計で比べた記事は、姉妹サイトの転職業界研究所「ホワイトな業界ランキング」にあります。

睡眠の病気が隠れていることも

生活を見直しても夜中の目覚めが続く場合、次のような睡眠の病気が原因のことがあります。ガイドは、閉塞性睡眠時無呼吸や周期性四肢運動障害は「中途覚醒型の不眠症」と間違えられることがあると注意しています[1]。

病気夜中に目が覚めるしくみ(厚生労働省の睡眠ガイドより要約)気づくきっかけ
閉塞性睡眠時無呼吸眠っている間に空気の通り道が狭くなって呼吸が止まったり弱くなったりし、血液中の酸素が足りなくなると目覚める反応が起きて呼吸が戻る。これをくり返すため、何度も目が覚めるいびき、家族から「呼吸が止まっていた」と言われる、日中の強い眠気
周期性四肢運動障害眠っている間に脚の筋肉のピクつきがくり返し起こり、中途覚醒が増え、深い睡眠が妨げられる。本人は気づきにくい家族に「寝ている間に脚が動いている」と言われる、日中のだるさ
むずむず脚症候群じっとしているときに脚に不快な感覚が出て、主に寝つきを妨げる。周期性四肢運動障害を合併しやすい夕方〜夜に脚がむずむずし、動かすと楽になる
不眠症眠る環境が整っているのに、寝つけない・途中で何度も起きる・朝早く目が覚めるなどが続き、日中の生活に支障が出る昼間のだるさ・眠気・集中しにくさ、眠ることへの不安

いびきや呼吸の止まりは自分では気づきにくいので、家族やいっしょに寝ている人に聞いてみるのも手がかりになります。

毎日3時・4時など、同じ時刻に目が覚めるとき

「毎日3時ごろに目が覚める」という悩みは、検索でもよく調べられています。同じ時刻に目が覚める理由は一つに決められませんが、一次資料から考えられることを挙げます。

  • 寝る時刻が早く、すでに必要な分を眠っている:たとえば21時に眠り、その人に必要な睡眠が6時間なら、3時ごろに目が覚めるのは計算上ふしぎではありません。ガイドは、成人の睡眠時間は6時間以上を目安としつつ、必要な時間には個人差があるとし、高齢の人では寝床にいる時間を長くしすぎないことを勧めています[1]。
  • 体内時計が前にずれている:ガイドは、高齢の人に多い「睡眠・覚醒相前進障害」を、夕方から夜の早い時間に眠くなり、深夜から早朝に目が覚めてしまう状態として紹介しています[1]。
  • 寝酒の影響:アルコールは眠りの後半の質を下げるため、夜の後半に目が覚めやすくなります[1]。
  • トイレ:毎晩トイレで目が覚めるなら、夜間頻尿の可能性があります[3]。

目が覚めたあとに朝まで眠れない日が続き、昼間に困っている場合は、早朝覚醒も含めた不眠として相談してよい状態です。

目が覚めて眠れないときの過ごし方

参考 厚生労働省の睡眠ガイドは、寝床で考えごとをするのは避け、なかなか眠れないときはいったん寝床を離れて、寝床以外の静かで暗めの、安心できる場所で眠気が来るまで静かに過ごし、眠気が来てから寝床に戻ることを勧めています。テレビやラジオをつけたまま、電気をつけたまま眠ることも、気づかないうちに眠りを妨げている可能性があるとしています[1]。

ガイドの内容をもとに、夜中に目が覚めたときと、昼間にできることをまとめると次のようになります。

場面ガイドが勧めていること
夜中に目が覚めて眠れない寝床で考えごとを続けない。眠れなければいったん寝床を離れ、暗めの静かな場所で過ごし、眠くなってから戻る
トイレに起きる足元灯や間接照明で、目に入る光を少なくする。冬は寝室やトイレとの寒暖差に注意する
寝る前寝酒をしない。夕方以降はカフェインを控える。寝る前の喫煙を避ける。寝室を暗く静かにし、夏は涼しく保つ
昼間朝に日光を浴び、日中に体を動かす(ガイドは、適度な運動が寝つきを早め、中途覚醒を減らすことを通じて睡眠時間を増やすとしています)。長い昼寝は避ける
寝床にいる時間長く横になりすぎない。1週間、寝床にいた時間と実際に眠った時間を記録して見直す

運動については1日の歩数の目安、昼寝の長さとタイミングについては昼寝の時間は何分がいい?で詳しく整理しています。

続くときは「不眠の認知行動療法」

生活を見直しても夜中の目覚めが続き、昼間の生活に支障が出ているときは、不眠の治療を受けることも考えましょう。薬だけでなく、「不眠の認知行動療法(CBT-I)」という、眠りに関する習慣や考え方を整えていく方法があります。

根拠:強い 慢性の不眠がある大人を対象にした20件のランダム化比較試験(1,162人)をまとめたメタ分析では、不眠の認知行動療法を受けた人は、受けなかった人と比べて、眠りについたあとに目が覚めている時間が約26分短くなり、寝つくまでの時間は約19分短くなりました。効果はその後も続いているようだったと報告されています[4]。

根拠:強い 米国睡眠医学会の診療ガイドライン(2021年)は、慢性の不眠症の大人に、複数の要素を組み合わせた認知行動療法を行うことを強く推奨しています。単独の方法としては、「眠くなってから寝床に入り、眠れなければ寝床を離れる」刺激制御法や、寝床にいる時間をいったん短くする睡眠制限法などを条件つきで推奨する一方、睡眠衛生(生活上の注意)の指導だけを単独で行う方法は勧めない(条件つき)としています[5]。

寝床にいる時間を短くする方法を自分で試す場合、厚生労働省の睡眠ガイドは6時間を限度にすることを勧めています[1]。強い眠気が出る、持病があるといった場合は、自己流で進めずに医療機関で相談しながら行いましょう。

原因の当たりをつける早見表

当てはまるものが多い行から見直してみてください。ここに挙げたのは一般的な目安で、原因を特定するものではありません。

思い当たること考えられる原因まず見直すこと
早めに布団に入る・朝もなかなか起きない寝床にいる時間が長すぎる寝床にいる時間を「実際に眠れている時間+30分程度」に近づける
寝る前にお酒を飲むことが多い寝酒による後半の眠りの悪化寝酒をやめる・量を減らす
午後や夕方にコーヒー・緑茶・エナジードリンクを飲むカフェイン夕方以降はカフェインを含まない飲み物にする
トイレで目が覚める夜間頻尿(塩分・病気など)減塩を心がける。続けば泌尿器科や内科で相談
寝室が明るい・うるさい・暑い寝室の環境照明を消す・遮光、エアコンで涼しく
いびき・呼吸の止まりを指摘された閉塞性睡眠時無呼吸の可能性医療機関で相談
夕方から眠くなり、深夜〜早朝に目が覚める体内時計が前にずれている可能性朝夕の過ごし方を見直し、続けば医療機関で相談

医療機関に相談したい目安

  • 生活を見直しても、夜中に目が覚める・朝早く目が覚めるといった状態が続き、日中のだるさ・眠気・集中力の低下などで生活に困っている
  • 大きないびきをかく、眠っている間に呼吸が止まっていると言われた、日中に強い眠気がある(運転中に眠くなる場合は特に早めに)
  • 寝ている間に脚がピクつく・夕方から夜に脚がむずむずして眠れない
  • トイレで夜中に何度も起きる状態が続いている
  • 寝酒をしないと眠れない・お酒の量が増えている
  • 気分の落ち込みや強い不安が続いている(働く人向けの相談窓口として、厚生労働省のこころの耳もあります)[6]

厚生労働省の睡眠ガイドは、ガイドの内容を実践しても十分に眠れない、眠って休めた感じが得られない、日中の眠気が強いといった場合は、睡眠障害が潜んでいないか医師に相談するよう勧めています[1]。

出典・注意書き

基準日:2026年11月時点

  1. 厚生労働省(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会). 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月). https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  2. Ohayon MM, Carskadon MA, Guilleminault C, Vitiello MV. Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan. Sleep. 2004. PMID: 15586779 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15586779/
  3. 日本排尿機能学会. 夜間頻尿診療ガイドライン[第2版](お知らせ・概要). https://japanese-continence-society.or.jp/information/guidelin/407/
  4. Trauer JM, et al. Cognitive Behavioral Therapy for Chronic Insomnia: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2015. PMID: 26054060 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26054060/
  5. Edinger JD, et al. Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2021. PMID: 33164742 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33164742/
  6. 厚生労働省. こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト). https://kokoro.mhlw.go.jp/

根拠の強さの表示:強い=複数の研究をまとめた分析・診療ガイドライン/中くらい=ランダム化比較試験/弱い=観察研究/参考=公的資料の目安・専門家の意見など。詳しくはこちら

ご注意

  • この記事は一般的な健康情報で、診断や治療に代わるものではありません。睡眠薬などを使っている方、持病のある方・治療中の方は、自己判断で薬や生活を大きく変えず、主治医にご相談ください。
  • 年齢による睡眠の変化には個人差があります。ここで紹介した研究の結果は集団の傾向で、個人の睡眠の良し悪しを判定するものではありません。
  • 「21時に眠り6時間で3時に目が覚める」などの例は、考え方を示すための計算例です。
  • 早見表は一般的な目安で、原因を特定するものではありません。気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。

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